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就活生が考えるべきキャリアについて

自分の「野心」はどこへ向かうのか?

「最初のキャリアがすべてを決めるわけではない」
就職活動中、よく耳にするこの言葉は、たしかに現代の働き方にフィットしているのかもしれません。転職や独立、副業といった多様な選択肢がある今、「どこに入るか」よりも「どう働きたいか」に重きを置くキャリア観が広がっています。

けれど、それでもやっぱり“最初の一歩”が自分の将来に与える影響は無視できません。だからこそ、就活生はキャリアを選ぶ際、「肩書き」や「企業名」だけでなく、その先にある自分の未来を想像することが大切です。

「キャリア」とは、“選ぶもの”ではなく“描くもの”

キャリアとは、単なる会社選びではなく、「どう生きたいか」の延長にあるもの。どんな社会課題に関わりたいのか、どんなスキルを身につけたいのか、誰と一緒に働きたいのか——。これらを考えることは、自分の人生をデザインする行為そのものです。

外資系コンサルティングファームで働くある若手社員は、「クライアントの意思決定を左右する提案ができることに、想像以上のやりがいを感じている」と語っています。日々の仕事が直接、企業の命運に関わる。その責任の重さに怖さを感じる瞬間もあるけれど、そこにこそ成長の種があるというのです。

一方、日系大手銀行で法人営業を担当する社員は「信頼関係をじっくり育む営業スタイルの中で、自分の人間力が試されている」と話します。競争よりも関係性重視の現場では、学生時代には見えなかった“社会人としての自分”が立ち上がってくるのだとか。

同じ「金融」という業界に身を置きながらも、働き方や価値観はまったく異なります。それぞれの現場にしかない“リアル”を知ることが、キャリア選択の解像度を高めてくれるのです。

社会人の「リアルな声」から学ぶ

就活を進める中で、OB・OG訪問やインターンシップを通じて、実際に働く人たちの声を聞く機会があると思います。それは単なる情報収集ではなく、「自分がその場に立ったとき、何を感じるのか」を疑似体験できる貴重な時間です。

たとえば、海外スタートアップを経てマーケティング職に転職した人は、「意思決定のスピード感が自分には合っていた。裁量権を持って動ける環境を、最初のキャリアで知れたのは大きかった」と振り返ります。

逆に、大手メーカーで10年近く勤務している社員は、「最初は決められた仕事を淡々とこなす毎日だったけれど、地道に信頼を積み重ねたからこそ、今は事業全体を動かすような仕事を任されている」と語ります。

どちらのキャリアも正解であり、どちらの道にも魅力があります。重要なのは、「自分はどんな環境でなら、前向きに働けるのか」「どんな成長曲線を描きたいのか」を真剣に考えることです。

「仕事を通じて何を実現したいか」を言語化しよう

就活の面接で頻繁に問われるのが、「あなたはなぜこの会社を志望するのか」という質問。しかし、その本質は、「あなたはどんな人生を送りたいのか」という問いに他なりません。

たとえば、「社会に大きな影響を与える仕事がしたい」という思いがあるなら、官公庁系金融機関やグローバルメーカー、公共系のコンサルティングなど、さまざまな選択肢があります。

また、「若いうちから事業づくりに関わりたい」と思うなら、スタートアップや新規事業に積極的な企業がフィットするかもしれません。

ただし、「早く成長したい」「大きなプロジェクトに関わりたい」という漠然とした願望だけでは、自分に合ったキャリアを見極めるのは難しいものです。

だからこそ、自分の価値観や目指したい世界を言語化しておくことが大切。過去の経験を振り返り、「自分は何にやりがいを感じてきたのか」「どんなときに一番“自分らしい”と思えたか」を棚卸ししてみてください。

「今」だけでなく「その先」まで見据えよう

就活は、あくまでキャリアのスタート地点に過ぎません。しかし、スタートの切り方によって、その後の広がり方が大きく変わるのも事実です。

たとえば、「まずはプロフェッショナルなスキルを身につけたい」という意志で戦略コンサルに入社し、その後に起業したり、NPOで働いたりする人もいます。最初の5年で“武器”を手に入れ、その後のキャリアで“理想の働き方”を追求する。そんな逆算型の設計も有効でしょう。

あるいは、「誰かの人生に寄り添う仕事がしたい」という気持ちから、最初から人材業界や教育業界を選ぶ人もいます。理想への道のりが少し遠回りになっても、自分の軸をぶらさずに歩んでいくことで、結果として大きな満足度を得ている人も多くいます。

おわりに:あなたのキャリアは、あなた自身のもの

就活が始まると、周囲の目や内定状況、ランキング、年収、知名度……さまざまな指標に心を揺さぶられるかもしれません。しかし、最も大切なのは「あなた自身がどう生きたいか」を見つめることです。

“正解のキャリア”はありません。あるのは、“あなたにとって納得できるキャリア”だけ。

自分の価値観を見つめ、実際に働く人の声に触れながら、納得感のある道を描いていきましょう。

その先に、きっとあなたらしい未来が広がっています。